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伊能忠敬と大日本沿海輿地全図( だいにほんえんかいよちぜんず)

投稿日:2017-08-31 更新日:

古地図コレクション(国土地理院)より

先日の十三里の話で,伊能忠敬の地図の話がでましたが,江戸時代に今までにない正確さで日本全図を製作した伊能忠敬は50歳で佐原の名主を隠居し,まさに五十の手習いの文字通り暦学,天文学,測量を学び,実践した人でした.

寛成12年(1800年)に第一次測量として奥州街道を蝦夷地までを手始めに,文化13年(1816年)の第十次測量まで16年間に10回の測量をして,大日本沿海輿地全図(別名,伊能図)をつくりあげました.

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10回の測量の旅

第1次測量(蝦夷地)

寛政12年(1800年)56歳 180日間
奥州街道‐蝦夷地太平洋岸‐奥州街道 

第2次測量(伊豆・東日本東海岸)

享和元年(1801年) 57歳 230日間
三浦半島‐伊豆半島‐房総半島‐東北太平洋沿岸‐津軽半島‐奥州街道 

第3次測量(東北日本海沿岸)

享和2年(1802年) 58歳 132日間
奥州街道‐山形‐秋田‐津軽半島‐東北日本海沿岸‐直江津‐長野‐中山道 

第4次測量(東海・北陸)

享和3年(1803年) 59歳 219日間
東海道‐沼津‐太平洋沿岸‐名古屋‐敦賀‐北陸沿岸‐佐渡‐長岡‐中山道 

第5次測量(近畿・中国)

文化2年(1805年) 61歳
幕府直轄事業となる。東海道‐紀伊半島‐大阪‐琵琶湖‐瀬戸内海沿岸‐下関‐山陰沿岸‐隠岐‐敦賀‐琵琶湖‐東海道

第6次測量(四国)

文化5年(1808年) 64歳
東海道‐大阪‐鳴門‐高知‐松山‐高松‐淡路島‐大阪‐吉野‐伊勢‐東海道

第7次測量(九州第一次)

文化6年(1809年) 65歳
中山道‐岐阜‐大津‐山陽道‐小倉‐九州東海岸‐鹿児島‐天草‐熊本‐大分‐小倉‐萩‐中国内陸部‐名古屋‐甲州街道

第8次測量 913日間(九州第二次)

文化8年(1811年) 67歳
甲府‐小倉‐鹿児島‐屋久島‐種子島‐九州内陸部‐長崎‐壱岐‐対馬‐五島‐中国内陸部‐京都‐高山‐飯山‐川越 

第9次測量(伊豆諸島)

文化12年(1815年) 71歳
忠敬は参加せず。東海道‐三島‐下田‐八丈島‐御蔵島‐三宅島‐神津島‐新島‐利島‐大島‐伊豆半島東岸‐八王子‐熊谷‐江戸

第10次測量(江戸府内)

文化13年(1816年) 72歳
江戸府内 
————

10回の測量の旅で日本全国の測量が終わり,編纂途中で死去しました.

蝦夷地の測量から始めたのですが,当時ロシアの進出圧力の高まりとともに蝦夷地の地図を作成する必要性がありました.蝦夷地に117日滞在しましたが,様々な事情により,測量は太平洋岸だけになりました.

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測量の手当ては出たのですが,全然足りず,機器も含めて自腹で数千万円に相当する額を負担しました.

その後も未完成な蝦夷地を完成させる試みはありましたが,幕府の許可が得られず,結果的に伊豆・東日本東海岸の測量を始めました.

この測量から数度に渡って本土の測量を続けるうちに日本全国を測量する方向へ目標が変わって行った様です.

生涯の仕事

前半生は伊能家に婿入りし,家業を立て直し,名主として佐原をまとめていく才能を発揮し,後半生は暦学,天文学,測量家として才能を見せています.

頼まれもしないのに,隠居後の趣味として江戸に住み学問を始めて,さらに自腹を切って測量をする訳ですが,若いころから公益を意識して仕事をしてきたことから公益に生涯を尽くした生き方ともいえます.

子午線1度の測定

フランス革命中に地球の大きさを求め,1メートルを決める測量の話がありますが,それから約10年後の1800年にはその情報が日本に伝わっていて,伊能忠敬が子午線1度を測量しようとしたのには驚かされます.

書物で読んだことを自分で確認する態度は実践的で江戸時代の実学の雰囲気が伝わります.

伊能忠敬は自宅に象限儀,圭表儀,垂揺球儀,子午儀等々機器をそろえ,幕府の天文台レベルの装備を持っていたとのことです.天体観測も毎日行い,太陽の南中,緯度の測定,日食,月食,惑星食,星食など,金星の南中などを観測していました.

南中と緯度の関係や日食,月食,星食と経度の関係についてはいつか説明したいのですが,正確に緯度,経度が決められると,地球という球体のどこにあるのかが特定できますので,正確な地図製作に重要な情報となります.

第一次測量を蝦夷地に選んだのは子午線の1度測定を精密にしたいという動機から始まったのかも知れません.

大日本沿海輿地全図の完成

伊能忠敬は文化15年(1818年) 4月13日に74歳で死去します.死後,喪を秘したまま,地図製作を続行して文政4年(1821年)に完成します.

これが伊能図もと呼ばれる,大日本沿海輿地全図です.

今日はこれまで.ではまた.

参考:古地図コレクション(国土地理院)
http://kochizu.gsi.go.jp/inouzu

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