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江戸時代の時刻について 1

投稿日:2017-09-06 更新日:

鐘

昨日は月の話で亥中という昔の時刻の表現が出てきました.今日は江戸時代の時刻についてお話しします.

江戸時代の時刻は日の出と日没を基準に定まっていましたので,今の時刻とは違います.一年を通して昼の時間と夜の時間が変化しますので,それに応じて単位時間の長さ(一刻)も変わります.

1時間の長さが常に変わらない,今の時刻の方式をを定時法と呼びます.江戸時代は季節に応じて長さが変わるので,不定時法と呼びます.

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一見不便のように見えますが,時計が貴重品で正確な時間を知らない暮らしでは,お日様の動きに合わせて生活する方が便利でした.

江戸時代の時刻方式(不定時法)は現代の時間の概念と違うので,誤解し易いところがありますので順番に説明していきます.

江戸時代の時刻方式(不定時法)の基本

明け六つ,暮れ六つ

日の出の約30分前を「明け六つ」,日没の約30分後を「暮れ六つ」としました.これは日の出の約30分前から明るさが増し,活動できるし,日没後も30分位は明るさが残っていることから,体感的に明るい,暗いの境目になるためだと思います.

「明け六つ」,「暮れ六つ」が時刻の基準になります.なぜ六つかというと,鐘を六つ鳴らして時刻を知らせたためです.

一刻は半日間の6等分

明け六つから暮れ六つまでの半日間を6等分します.等分された1単位を一刻といいます.

季節によって夜の長さと昼の長さが代わりますので,一刻の長さが変わります.

一刻の半分を半刻(はんとき)といいます.四半刻(しはんとき)または小半刻といいます.

一日(24時間)は12分割(等分ではありません)になりますので一刻の長さ平均は2時間です.半時の長さは平均1時間です.四半刻または小半刻は平均15分です.

この長さの変化は毎日変えていくと不便なので節季毎に変更しました.

昼九つ,夜九つ

「明け六つ」から三刻目は3/6=1/2,つまり半日の半分が「明け六つ」,「暮れ六つ」の真ん中,真昼になります.この時,太陽が一番高くなり,この刻を「昼九つ」といいます.ここから日中の後半が始まります.同様に「暮れ六つ」から三刻目の真夜中は「夜九つ」です.

刻の呼び方

ここまでで,「六つ」と「九つ」を覚えました.昔は刻を鐘を撞(つ)きの数で表した為,このように呼んでいました.これは現代の6時,9時とは全く違います.

6,5,4,9,8,7,6,5,4,9,8,7,6…となっていきます.具体的に示しますと,「明け六つ」から次の様に撞き数が変わります.「六つ」,「五つ」,「四つ」と一刻毎に一つづつ減り,次はいきなり「九つ(正午)」,そして「八つ」,「七つ」,そして「六つ」に戻ります.日没後も同様です.

つまり,明け方から一刻毎に,五,四の順に鐘を撞き,昼時から,八,七の順に撞きます.日没後から再び,五,四の順に撞き,真夜中から,八,七の順に撞きます.

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一日の時刻

明六つ(日の出約30分前)
朝五つ
朝四つ

昼九つ(日の出と日没の真ん中)
昼八つ
夕七つ

暮六つ(日没約30分後)
宵五つ
夜四つ

夜九つ(真夜中)
夜八つ
暁七つ

明,朝,昼,暮,宵,夜,暁などの文字が付くとより生活感が出てきます.

ここまでのまとめ

くどいようですが,分かりやすくもう一度まとめます.

日の出約30分前が「明け六つ」,日没約30分後が「暮れ六つ」,真昼が「昼九つ」,真夜中が「夜九つ」.

「六つ」,「九つ」から撞き数は1つづつ減っていきます.

6(日の出前),5,4,9(真昼),8,7,6(日没後),5,4,9(真夜中),8,7,6(日の出前)…と続きます.

日の出前から,日没までの日中の6等分が日中の一刻,日没から日の出前までの夜間の6等分が夜の一刻.昼と夜の一刻は長さが違います.

一刻の半分を半刻(はんとき),その半分が四半刻(しはんとき)または小半刻です.

鐘の撞き方(江戸の時報システム)

なぜ,一日の始まりが「六つ」から始まるのでしょうか?これは中国の陰陽説の由来と考えられています.陰陽説では奇数は「陽」,偶数は「陰」としています.一桁で最大の陽数は「9」です.「9」は特別な数なので,極である真昼と真夜中を「9」にしています.真昼と真夜中の半日を6等分していますので,そのゆえんで,日の出と日没を「六つ」にしたのかも知れません.「6」は偶数なので陰陽のバランスがとれるのかも知れません(本件は調査を続ける予定).

今では奇妙な数え方ですが,生まれた時から毎刻聞き続けていると鐘の打ち数と時間の感覚が体感的に身について来るのかも知れませんね.

鐘の打ち方にはルールがあって(江戸の場合),最初に「捨て鐘」といって三つ打ちます.これで合図してから,鳴らします.江戸には9ヶ所の鐘があり,順番に鳴らしていました.

江戸の鐘の配置

江戸内では必ず鐘の音が聞こえる配置になっていました.

①本石町(現在の日本橋小伝馬町)
②上野寛永寺
③市ヶ谷八幡
④赤坂田町成瀬寺
⑤芝増上寺
⑥目白不動尊
⑦浅草寺
⑧本所横堀
⑨四谷天龍寺

この順番通り鐘を鳴らすことが決められていたので,音が重なることはありません.この配置と数は時代で調整されます.この時報システムを「時の鐘」と呼びます.江戸時代に全国に広まります.

資料

浦井 祥子著『江戸の時刻と時の鐘』
http://www.iwata-shoin.co.jp/shohyo/sho184.htm
http://www.iwata-shoin.co.jp/shohyo/sho223.htm

セイコーミュージアム
http://museum.seiko.co.jp/knowledge/relation/relation_07/index.html

長くなりましたので,今日はこれまで.ではまた.

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