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ナタネ油 菜種油

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先日の記事で,「ナタネ」は作物名で,植物名は「アブラナ」であることをお伝えしました.ナタネの利用は主にナタネ油を採ることで,在来のアブラナより「セイヨウアブラナ」の方がナタネ油の収量が良いので,セイヨウアブラナが一般的に栽培されています.

ナタネ油は代表的な植物油の一つです.生産量では,パーム油,大豆油,ナタネ油の順で第三位です.日本での食用油の生産の6割がナタネ油です.

ナタネ油はてんぷら油として使用されてきました.ところが,ナタネ油に含まれているエルカ酸(トランス脂肪酸)が心臓障害を引き起こすという理由から米国などではナタネ油を禁止するに至りました.

エルカ酸とキャノーラ油

近年,品種改良でエルカ酸とグルコシノレートを削減されたナタネ油が「キャノーラ油」として注目されています.

従来のナタネ油

エルカ酸25%–48%、オレイン酸13%–51%、リノール酸20%–27%、リノレン酸8%–16%、ほかパルミチン酸、ステアリン酸数%

キャノーラ油

オレイン酸が約60%と,リノール酸21%–32%、α-リノレン酸9%–15%、パルミチン酸約5%、ステアリン酸約2%であり、エルカ酸は1%未満

さらに,オレイン酸比率が70%を超える高オレイン酸品種も開発されています.

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グルコシノレート

グルコシノレートとは,含硫化合物の一種で甲状腺障害に関与する物質です.約120の含硫化合物があります.ナタネ種子には甲状腺腫を誘導するゴイトリンの前駆体のプロゴイトリンが多く含まれていますので,問題となります.

有毒であるエルシン酸とグルコシノレート含量の低いキャノーラ油がより安全に見えますが,キャノーラ種は遺伝子組換え技術を利用しています.製品に遺伝子組み換えによるという表示義務もありません.

有毒物か遺伝子組換えかのどちらを取るかは選択者の好みの問題ですが,上記の知識がない場合は,選択すら意識していないことになります.

また,最近の菜種油には伝統的な交配育種法による品質改良により、オレイン酸比率が70%を超える高オレイン酸品種も開発されているとのことです.

エルカ酸,オレイン酸などを脂肪酸と呼んでいます.化学の世界ではR-COOHなどと表記されますが,化学反応は体の仕組みと深い関係があります.また,遺伝子組み換え技術や含硫化合物なども興味深いものがありますので,機会があったら少しづつ触れていきたいと思います.

今日はこれまで.ではまた.

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