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現代人の中にも残っている縄文の魂

投稿日:2017-06-04 更新日:

土偶
縄文マニアのS君と駿河台にある明治大学の博物館に行ってきました.先日,東京大学の博物館で縄文のコレクションは明治大学がダントツです,という事を聞きましたので訪ねてみました.館内に入るとすぐに案内され丁寧な説明を伺いながら一緒に廻って頂くことができました.

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いろいろと説明されている中で,縄文後期には土器が宗教的あるいは儀式的用途のものが現れるという様な説明をされました.すると,S君は「神頼みをするようになったという事は生活の困難がどうしても技術的に克服できない環境変化がやってきたんじゃないですか!?」というよう質問をしました.完全に縄文人に成りきっています.案内の人は縄文人じゃないのでチョット答えに窮した様子でした.

さて,S君なのですが,私の小学校からの友人です.お互い近所に住んでいたので毎日一緒に遊んだのですが彼は遊び見つけの天才と言うか,現代風に言えばあそびクリエーターというような才能を小学校の頃から発揮していました.

小学校一年生になってまだ間もない頃,後ろから奇妙なボヨヨーン,ボヨヨーンと音が聞こえてきます.水中の音と言うか,宇宙の声というか聴いたこともない音楽です.後ろの席はS君です.振り向くと音は止んでいます.

前を向いてしばらくするとまたボヨヨーン,ボヨヨーンと聴こえてきます.何度か振り返ると,下敷きを楽器代わり演奏していました.

別の日に写生会に行きました.小学生ですから,みんな一応何を描いたのかわかる程度に下手な絵でしたが,S君の絵はずば抜けていて,誰が見ても「前衛的」,「抽象的」過ぎて,誰にも何が描かれているのか理解できません.

今ではどんな絵だったのかおぼろげにしか覚えていませんが,衝撃的な印象だけが残っています.小学生に抽象画は早すぎます.誰も理解できないものが描かれているという不思議な絵でした.ほぼ全体が緑色で中央付近に小さな赤い点があるようなイメージです.

S君はどちらかと言うと,学校の勉強はあまり好きではない様でしたが,実生活や遊びに関しては常識をはるかに超えた才能を持っていました.地頭が良くて,1を聞いて10をつくり出すような才能です.

大人になるとさすがに世間の常識に近づいて,自由で奇抜な発想は減りました.でなければ現代にまぎれて生きてはいけません.でも,最近ではダーツ,サイクリングなど新しい遊びの分野を彼らしい方法で開拓しています.あとから見れば縄文探求もその一つになるかも知れません.

これらは私に多大な影響を及ぼしました.今でも遊び,仕事の原点になっています.私は彼をひそかに「ちょっと違う視点から世の中を考える知恵の師匠」と思っています.

思えば小中学校の頃はもっと自由に,畳の筏を水に浮かべ騎馬戦で相手を落としたり,武器をつくり楯をたよりに石投げの模擬戦をしたり,花火の改造をしたり,火炎放射器で布団を燃やしたり,とかなり危険な遊びをしていました.

またトランシーバーでUFOとの通信をしたり,ベーゴマの改造で鉛を溶かしたり,鍋や洗濯機の蓋を持って長瀞に行き川で砂金採りをしたり,自転車で遠出をしたり,無計画で箱根にキャンプに行くなど次々に新しくて危険な遊びを工夫し発明していました.

大人になってからはスキー,つりなど並な遊びの形ではありましたけど.外観は同じでも内容には独自性があります.

彼のすごいのは人から聞いた情報や方法を自分なりに解釈してそれに独自の工夫を加えて改善していく精神です.最初のキャンプは本当に基本的な道具だけで,あとは工夫で徐々にアップグレードしていきました.今から思えば,ホームレスよりみすぼらしいキャンプから始まりました.川で身体を洗ったり,自作の燻製器で燻製をつくったりしました.

スキーも初めは最小限の道具から始めました.普段着と変わらない格好でスキーしたりして十分寒さと辛さを味わいました.これらの体験はほぼ縄文人体験そのものだったかも知れません.最初は一から始めて完成に至るという体験は今ではすごく役に立っています.

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さて,本題に戻ります.縄文と言う呼び方は1959年頃から始まったという事で研究が本格的に始まってから50余年しかたっていません.縄文時代の始まりが約1万5,000年前から始まり,1万年以上も続いたことを考えれば50余年の研究で1万年以上続いた時代を解明するのは,短すぎます.まだまだ時間がかかります.

年々の発見で今までの解釈が変わっていきます.縄文時代にはそれだけ解釈と想像の余地が残っているという事です.この時代には文字が無いので石器や土器から事実を積み上げて行って,最後は想像力と推測力で解釈するしかなさそうです.

現代はマニュアル社会化していて自分で工夫をする前に誰かにやり方を聞いてしまい勝ちです.たとえば自分で縄をつくろうとします.どの様に作りまか?・・・・・・と言うよりそもそも縄を自分で結おう,自然の中から材料を見つけるという発想がありません.アマゾンでナイロンロープ10メートル注文して完了です.

ここでもし,S君が縄文時代にいたとしたら,原始的な縄から作り始めて綱までたどり着くかもしれません.縛り方も物に応じで工夫していくでしょう.こういう縄文的な発想が重要です.そして遺跡などで発見された事実やデータからの推測を検証していきます.

博物館見学中に土器の使い方を議論をしました.土器を見ながら,私は土器で煮炊きをするにしても,まさか川や沼まで水を汲みに行くのにあんなに広口の土器を持って行くわけはないと思い,「骨壺として使われていた先細形の土器が水運びに使われていたのでは?,そしてあの上部の曲線の形は肩に担ぐのにちょうど良いのでは」とS君に伝えました.

川で水を汲めばそれを持って斜面を登らないとキャンプ地に戻れないという実体験からです.川に近すぎると鉄砲水などで半定住でも危険なのです.

すると,彼の意見は「上部の細い部分を縄で縛って2つ繋げれば肩から担げるのでは」ということです.・・・なるほど.でも,縛り方を余程工夫しないと落としかねないとも思いました.でも,S君なら解決するでしょう.草から縄を結い,縛り方を工夫するのに500年位かかるかも知れませんが…… 縄文時代の技術の発展はゆっくりなのです.

博物館を出て,学食に向かいながらふと思いました.このS君を縄文時代に送れば縄文時代はもっと短くなったかも知れないなと.あるいはひょっとするとS君は縄文時代に生まれるべきだったのに,間違って現代に生まれてしまったのではないかという考えも頭をよぎりました.

さて一連の縄文巡り,次回はいつになるかわかりませんが,国学院大学の博物館に行くつもりです.明治大学の案内の方が,ぜひ国学院を訪れてコレクションを見た方が良いですよと教えてくれました.

そこには火炎土器があるとのこと.もう頭の中が縄文人が見ていた焚火の炎でいっぱいです.彼らは焚火の専門家です.そしていつもいつも眺めていたことでしょう.炎を土器に表現するのは彼らの魂から見れば自然のことなのです.土器は炎の中で焼かれますから,炎から生まれたものなのです.

結局,縄文時代のテーマで3大学の博物館めぐりをすることになってしまいました.さて,次はS君からどのような発想が出てきて,どのように想像の世界が広がっていくのか楽しみです.

そのうち暇になったら3カ月間位どこかの山中で本格的な縄文キャンプ体験でもしたいものです.焚火をして土器をつくって,そのついでに土偶やアクセサリーをつくっていくとどういう気持ちが生まれてくるのでしょうか?

駿河台でS君と別れて私は1時間ほど周辺を散歩してから電車で帰宅しました.ところでS君は自転車でしたが,彼の家は駿河台から50キロ以上あります.往復で百数十キロ,電車があるのに自転車で.・・・・・・そういう人です.別れた後には縄文の汗臭い香りが漂っていました.

今日はこれまで.ではまた.

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