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寛政暦書と伊能忠敬の時代の観測機器

投稿日:2017-09-08 更新日:

寛成暦書

昨日は「江戸時代の時刻について 2」で高橋至時(たかはしよしとき),間重富(はざましげとみ),山路徳風(やまじよしつぐ)らがつくった寛政暦(寛政十年(1798)-天保十四年(1843)の46年間使用)に触れました.

この寛政暦の規則や理論を記した書物を暦書といいますが,高橋至時が没したため,高橋至時の次男の渋川景佑(しぶかわ かげすけ)が寛政暦書を完成させました.

寛政暦書

「寛政暦書35巻」,後に続編5巻「寛政暦書続録」追加)は天保15年(弘化元年 1844年)完成しました.

寛政暦は当時最新の西洋天文学の知識を基に太陽と月,星の動きを精密に観測して暦法をアップデートしていました.暦学理論,観測記録,観測器具等について書かれています.

完成暦書は現在デジタル化されて国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できます.

寛政暦書 35巻

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2552879?tocOpened=1

高橋至時,山路徳風は伊能忠敬の先生でしたが,高橋の次男である渋川景佑は,文化2年(1805年)の第5次測量に従事しまし,東海地方・紀伊半島・中国地方の測量に参加しました.

このことから,この時代は天体観測と暦と測量は密接な関係があることが分かります.

伊能忠敬の道具

伊能忠敬と大日本沿海輿地全図( だいにほんえんかいよちぜんず)
https://sangakaiku.com/1322.html
では,

「伊能忠敬は自宅に象限儀,圭表儀,垂揺球儀,子午儀等々機器をそろえ,幕府の天文台レベルの装備を持っていたとのことです.天体観測も毎日行い,太陽の南中,緯度の測定,日食,月食,惑星食,星食など,金星の南中などを観測していました.」と書きました.

この中で,機器として「象限儀」,「圭表儀」,「垂揺球儀」,「子午儀」が出てきます.

これについて,寛政暦書の19巻から21巻に当時使用していた観測機器類の図がまとめられているので,掲載します(伊能のものでは無く,完成暦書に記されているものです).

象限儀

象限儀小屋

象限儀小屋

円の1/4で扇形をしています.四分儀(しぶんぎ)とも言われます.角度を正確に測ります.

象限儀

象限儀

メモリの部分の拡大図を見ると,ジグザグがありますが,これにより1目盛を1/6以下まで読み取る工夫があります.恐らく1/12まで読んでいたと思います.

象限儀目盛

象限儀目盛

圭表儀

圭表儀小屋

圭表儀小屋

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南中時の太陽の影を測る圭表儀です.日時計(土圭)の精密版です.太陰太陽暦は年間で太陽の南中時に影が最も長くなる日を冬至とし,暦の起点にしています.

圭表儀

圭表儀

圭には「尖った」の意味もあり,尖った形から名付けられたのでは?

垂揺球儀

垂搖球儀

垂搖球儀

垂揺球儀は天体観測用の機械式精密時計で重りを動力とした振り子時計です.一日は百刻に分け,一刻を百分した文字盤です.小型のものもあります.

垂揺球儀 拡大図

垂揺球儀 拡大図

子午線儀(子午儀の原型)

ぴんと張った糸を天体が通過する時刻を測定します.後に望遠鏡を取り付けて正確に測れる様に工夫したものが子午儀です.

子午儀

子午儀

天球儀 地球儀

天球儀 地球儀

天球儀 地球儀

「おまけ」で掲載しますが,地球が球体であることと星々の位置関係を正確にイメージした上で,経度,緯度の研究をしています.

以上の機器で時間と角度を精密に測っています.精度を出すために大きな機器となり,専用の小屋をつくっています.大規模な観測機器ですね.

測量台

測量台

参考:

寛政暦書 35巻 国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2552879?tocOpened=1

江戸時代の天文観測 国立天文台三鷹図書室

http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/exhibition/041/

今日はこれまで.ではまた.

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